日本茜の果実は熟しながら色を変えていきます。
植物の果実は、動物に食べてもらうことで種を遠くに運ぶことができ、生育域を広げるこができます。生育域を広げれば天変地異や異常気象などによる絶滅のリスクを低くすることができるのです。
ですが、ここでひと工夫が必要なのです。
それは、未熟な状態にある果実の種は発芽しないからです。
そこで植物は、果実が未熟な状態の時には、食べられないように果実を葉と同じ色で目立たないようにしておきます。その間、ひっそりと種が発芽できるように果実を熟させます。そして、いざ、熟して発芽できるような種の状態になった時には、果実を目立つ色に変化させて動物に注目させ、食べてもらいます。
…賢すぎる。
昔、TVドラマで「腐ったミカンの方程式」というのが有名になりました。
これは、箱の中にたくさん入ったミカンの中のひとつが腐ると、周りのミカンも腐ってしまう現象をドラマの演出に用いたからです。
果実は熟すとガスを発生させ、このガスにより果実はさらに熟す速度を早める作用があるそうです。この作用で腐ったミカンから発生したガスが、周りのミカンの熟す速度を早め、結果、ミカンは次々と腐ってしまうというものです。
だから、腐ったミカンは早く取り除かなければならないということです。
このガスはエチレンガスというものですが、ミカンだけでなく野菜や果物全般で分泌し、自らの熟成を促し、そして老化させます。この性質を逆に利用すれば、意図的に早く熟成させることに利用できるようですが、熟成と老化は表裏一体で腐敗につながり、管理が難しいようですね。人間にも通じるものを感じます…
もう少しで熟し終えた果実を採取したら、いよいよ日本茜の根を堀り上げます。
納品のスケジュール的にも体力的にも、きつい週末が続きますが楽しみでもあります!