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突然ですが、茜色と聞いて何を連想されますでしょうか?
私は夕焼けに染まった色を思い浮かべます。
いちにちの終わりの準備となる陽が沈む頃に現れる、淡い赤黄色から濃い赤色の空は誰しもが何かを感じる時じゃないかと私は思います。
しかし、なぜ、夕焼けを「あかねいろ」と呼ぶの? と聞かれても、答えることができませんでした…日本茜を知るまでは。
茜色とは、日本茜という植物の根から抽出される染料で染めた色で、緋色とも呼ばれています。その色が夕焼けに染まる空の色に似ていることから、いつの日からか夕焼けの形容に用いられるようになったと考えられます。
日本茜は世界でも古い染料のひとつであり、
● 弥生時代の日本茜で染められた布が出土しています
● 卑弥呼は外国への貢ぎ物に茜染めの絹を送りました
● 万葉集では茜色を用いた歌が詠まれています
● 日本で最初の日の丸の国旗は、日本茜で染められました
日本茜の色が、いにしえの日本の文化を築き上げてきた、ひとつの要因であるといっても過言ではないでしょう。
しかし、2000年ほどの染料としての歴史を持つ日本茜の自生数は激減しており、現在では簡単に見つけることができない希少な植物となってしまいました。同様に、日本茜とともに万葉集に登場する染料植物「紫草(ムラサキ)」は、すでに絶滅危惧種となりました。
更に、日本の文化を彩った茜染めの技法は、歴史の中で受け継がれることなく一旦、途絶えてしまいました。しかし、江戸時代の八代将軍 徳川吉宗をはじめ、数多くの研究家や染め師の努力で、いにしえの茜色を復元することができるようになりました。
日本茜との出会い
私は、ひょんなことから、日本茜という植物を知り、自生している姿をこの目で見たい…その想いを強く抱いていました。
しかし、ネットで調べても当たり前ですが、日本茜が生息している場所に関する情報はまったく無く、自分で見つけるしか方法がありません。近くの野山を目を凝らしながら歩きまわり、ついに、ハート形の葉が4枚、十字に広がる姿を見つけることができました。今でも、あの時の感動は忘れません。
私と日本茜の関わりはその時から始まり、今では日本茜を栽培しています。
日本の伝統色を未来に残すため、万葉草ファームでは安定して希少な染料を供給できることを目標に日本茜の栽培に取り組んでいます。
日本茜に関する情報や栽培状況などをブログで更新しておりますので、興味がある方のお役に立てれば幸いです。
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