万葉草ファーム/日本茜栽培

日本の伝統染料植物 日本茜の栽培

日本茜の栽培 根の収穫

日本茜の栽培の工程もいよいよ最後の段階である、根の収穫となりました。

茜を栽培している畝の幅は1メートルあるのですが、畝の端っこまで細い根が張り巡らされています。

畝にびっしりと生える日本茜の根

幅1メートルの畝にびっしりと生える根

できるだけ根が切れないように茜の株のまわりにスコップを入れていくのですが、細い根はちょっとした衝撃で切れてしまいます。

もったいないので切れた根を拾いたいのですが、そんなことをしていると日が暮れてしまうので小さく切れた根は、あきらめるしかないです。

スコップを入れることを何度も繰り返し、頃合いを見計らって、力を込めて茜の株を土ごと下から掘り上げます。
土を落としてあげると、びっしりと張った根の全容がお目見えします。

日本茜の根

この株は、根の長さが70cmを超えていました。

日本茜の根の長さ

栽培している日本茜と自生している日本茜の一番の大きな違いは、根の収穫じゃないでしょうか。

以前にも書きましたが日本茜が生育している場所は、色々な草が鬱蒼と生えている場所に生育しているので、他の植物の根と日本茜の根が絡み合っています。茜染めにとって、他の植物の根は、茜本来の色を出す邪魔者でしかないので、その選別作業は慣れていないと大変なことです。

また、収穫できる根の量も実際に生えている根の半分も収穫できないんじゃないかと容易に想像できます。

その点、栽培している日本茜は、マルチをかけているので日本茜以外の雑草が生えることはありませんので、収穫した根を選別する必要がありません。

そして、高畝にすることで根を掘り上げやすく、根の生育も促進するという一石二鳥の効果もあります。

そのような効果から、ひとりで3~4時間の作業でも、約2kgの根を収穫できました。

収穫した日本茜の根

3~4時間の作業といえども、この季節の圃場での作業は身体が冷え、早く家の中で暖まりたいのですが、作業はこれで終わりではなく、その日のうちにやらなければならないことがあります。

根が乾燥しないうちに流水で根についている土や異物を取り除きます。
細かい感触が必要なので素手でするこの作業は結構辛いものがあるのですが、とても大切な作業です。
すべてはきれいな色に染めるため、と自分に言い聞かせながら行います。

流水で洗い流した茜の根は、黄色とオレンジ色と赤色がミックスした鮮やかな色合いになります。

流水できれいにした日本茜の根

最後に根をタオルで拭き、水分を取り除いたらチャック袋に密封し、日本茜の生の根を提供することができます。


どうか良い色が出ますようにと願いをこめて納品です。